猫又号のブログ

(=^・・^=)跨ごうかな(^_^;) 野良美人のブログ?

2008年08月25日の記事

毒書日記429

『宇宙エレベーター−こうして僕らは宇宙とつながる−』 アニリール・セルカン 著、訳者不明、大和書房[A5判]

 

タイトルだけで買った私が間抜けです。

NASAの宇宙飛行士の候補だし、ユニークな四次元建築や11次元理論の著者なので、衝動買い。

勿論、『軌道エレベーター』への思い入れも、尋常じゃないので、

物事が全く見えていなかったです。

 

先ず、科学用語・専門用語・業界用語・歴史的事実の間違いが顕著。

 

p.22 「人間が普段住んでいる環境の重力は、1G(グラビテーション)と言われる。」

⇒加速度を重力加速度比で表してるつもりか? しかも「G」は「ジー」だろ。

  グラビテーションじゃアニメだろうが!

 

p.24 「コロンビア号の悲しい事故で、……1機減っている。」

⇒Remember Challenger! それに、「悲しい」事故じゃないだろうが。

  NASAの安全対策不足の一言。オービターは2機減っている。

 

p.32〜33 「ATA宇宙エレベーター」

⇒説明が不十分だし、オリジナルのアイディアの様に語るが、発表は2000年。

 となると、1993年にズブリンが発表した「極超音速スカイフック」とほぼ同じ考え方。

 現有の強度の材料で、地上まで届かないプラットホームを低軌道上に設置し、

 そこから宇宙へはエレベーター方式で上がるもの。

 これとの差がはっきり書かれてないと、「ATA」の良さが何も解らない。

 

p.33 「アーサー・C・クラーク博士」

⇒博士号は持っていません。Sirの称号は持っています。失礼な!

 

p.49 「……赤は6500〜7000オングストロームの頻度で動いている速い光だ。」

⇒オングストロームは長さの単位、つまりこの場合波長。頻度で動くと云う表現を使うならば、

  周波数とか波数を使うべきでしょ。

 

p.55〜56 「無名の数学者カルーザ」

⇒著者の国での発音はカルーザなのかもしれないけれど、日本では「カルツァー」と呼称します。

 それに、アインシュタインとのやり取りも不正確。カルツァーの、マクスウェル方程式と

 アインシュタインの一般相対性理論の解釈が不十分で、それを充実させた後に発表を勧めている。

 だからこそ、現在「カルツァー・クライン理論」と呼ばれている。

 

p.60 「11次元宇宙理論」

⇒何時論文を出したのかが一切不明。超弦理論やM理論、ブレーンワールドでは、

  昔から4次元軸連続体の以外に、5次元、10次元、11次元、26次元などの理論展開は、

  検討されている。セルカンの理論のどのあたりがユニークなのか全く解らない。

 

p.61 「雪の結晶みたいに、……、3.5次元の存在……」

⇒雪の結晶は3.5次元ではないと思いますが……。

 

p.95 「ソジウム22を対消滅させて……」

⇒先ず、物理学者が日本語で書くなら「ナトリウム」にしてくれ。「ソジウム」、「ソディウム」の表記は、

  医学、薬学、栄養学での表記。更に、ナトリウムの安定同位体はNa23、

  どうやって原子量22の物をてにいれたんだよ〜。しかも、対消滅って、

  反ナトリウム原子を作ったのか、それとも買ったのか?

   子供の実験の話題(実話)としては、怖すぎる。

 

p.101 「暦の『0』地点」

⇒この節自体暦が解っていない人の説明。何故なら、暦に「0」点はない。A.D.1年の前年は、

  B.C.1年。キリストの誕生日を「0」にした訳じゃない。「1」にしただけ。

  当時の西欧では「0」の概念はなかった。

 

p.103 「北極星は、7500年にはポラリスからアルデラミンという星に変わり、

       13000年にはかの有名なヴェガに変わる。」

⇒凡そ正しいですが、その前の記述が年単位なのに何故ここでは100年もサバ読むの?

  アルデミランが北極星の位置に来るのは西暦7600年頃、

  ヴェガのそれは、西暦13100年頃と計算さていますが……。

 

p.120 「つまり、カシミア効果(真空内で接近しておかれた2枚の平行な金属板が、

       外部との波長の違いにより引き合う効果)……」

⇒「カシミア効果」の呼称はまあ良しとしよう。「カシミール効果」の方が定着しているかなと思うけど。

  それよりも()内の説明。零点エネルギーの振動モードの問題、波長の違いでない事はないが。

 

p.138 「ラテン語でヘブンは『天国』という意味だが、シュメール語では、

       現在地球と火星の間位置する『隕石群』のことを指す。」

⇒ラテン語で「天国」は"pardisuss"または"caelum"、

   タックスヘブン("Tax Haven")のヘブンと間違えてないか?

  とは云うものの"Haven"は古英語で「港」→「避難所」と変化した言葉で、

  元より英語はラテン語系じゃないし。シュメール語は解らんのでパスするが、信じない。

  「隕石群」はおそらく、地球と火星でなくて、火星と木星の間の「小惑星帯」の事と思われる。

  それとも、メソポタミアの神話には地球と火星の間に「隕石群」が存在するのか?

  そんな神話、聞いたことない。

 

p.142 「竹内文書」

⇒普通に「偽書」と言われている、近年創られた「神話」を、日本古代の神話として引用するのは……。

 

p.147 「サマーンランガナ・スートラダート」のセルカンによる現代語訳。

⇒「温熱装置」が「放射性熱源」、「火力」が「アルファ粒子」、「水銀の動力が加熱されると」が

  「水銀は雷力すなわちプロトン核融合を」、「火」が「水銀プラズマ」って、訳解りません。

 

p.155 「原子爆弾を作った科学者レオ・シズラートは……」

⇒「原爆を作るようにルーズベルトを説得したレオ・シラードは……」が普通の書き方と思いますが。

 

「第4章 歴史の旅」では、古代シュメール文明が現在よりも高度な科学的知識・技術を有しており、

それが、ギルガメシュ神話として伝わり、アダムとイヴの話や聖書のノアの箱舟に繋がったとか。

一般に創世神話が、一定の起源を持つと考えるのは、学説としては有りです。

ですが、核融合を始めとする科学技術の所持や、カッパドキア遺跡が古代核戦争の痕と言うのは、

あまりにも有名な与太話。

途中から、グラハム・ハンコック(『神々の指紋』の著者)になってます。

 

こんな奴、シャトルに乗せたり、ISSに行かせたりするな!

良く、こんな無茶苦茶な知識で、NASAの宇宙飛行士(MS/PS)候補になれたな。

トルコ−アメリカ間の裏取引か?

 

訳者の名前が記載されていないのは、セルカン自身が日本語で書いたからかもしれません。

セルカンは語学に堪能で、数ヶ国語を話すことができ、東大で学位取得してるし、

JAXAや東大大学院で講師もした経験あるし……。

 

まだまだ、突っ込み所が有るかもしれない、まともな有名人が書いた、

「トンでも本」かも知れないので、廃棄は中止、永久保存版とします。

 

こんなに、毒書日記を書くのが大変だったの、初めてだ。

 

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