燦然たる黒歴史の溜まり場く(´(Å)`)ツルリ

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2020年05月の記事

うろ読面白SF目録2020 ちょっと紹介1

うろ読面白SF目録2020 ちょっと紹介1


・うろおぼえな印象に残った箇所を大ざっぱに記したものです。内容の正確性は担保できません。
・あらすじを思い出すために一部ネットのレビューを参考しています。
・本選びのお供にどうぞ。


ルシファー・エフェクト/フィリップ・ジンバルドー
とっつきやすさ○(お堅いジャンルにしては) ホラー・サスペンス(実験当日から不穏)
「スタンフォード監獄実験」を行ったジンバルドー教授本人が実験の全貌の記録。「アブグレイブ刑務所虐待」や「英雄の条件」その他について考察された800ページの枕。
実験であてがわれた役割に順応しようとする人々(実験を監督する教授・スタッフたちですらも)の描写はフィクションものに劣らない迫力。


我らはレギオン/デニス・E・テイラー
 欧米式異世界転生。サクサク読みやすい。
 コミコン会場でトラックにひかれたボブ。目が覚めると百年経っていた。しかもAI化されて。オペレーター「AI化された日本人は(みんなと同じじゃないし)発狂しました」。ボブ「やったじゃん」。
 原理主義国家化したアメリカからは「お前は神の道具(つまりワシらの権力争いの駒)だ。人権もへったくれもないから」といわれ、惑星探査機になれ(植民地化できそうな惑星に一番乗りしろ)といわれて地球を飛び出す羽目に。
 一般人なら矢継ぎ早の展開と百年の孤独にやさぐれるところ、そこはオタクのボブさん。「一人楽しすぎる。オタクの内輪トークならもっと楽しい」の精神を発揮して自分のAIの分身を作ります。オリジナルは同じでもおそ松さんの六つ子並の個性するボブたちと野球をやってみたり、スタートレックやスターウォーズネタで大いに盛り上がりながら惑星を目指す。
 同士討ちで滅亡寸前のお偉いさんが「お前は人類(我々の国から)を救わねばならない」と高飛車にいわれたり、旧世界の勝ち負けにこだわるネオブラジルの探査機につけ狙われたり、発見した惑星で神様ごっこをして現地民にうざがられたり、各エピソードが軽妙な語り口で描かれる。


ついでに読みたい>オラAIになっちまった!
みずは無間/六冬和生
探査機のAIになった主人公が無間の孤独と時空の中で元カノとの思い出に苛まれ……。
宇宙時代に語り継がれる怪談という出来。
虚無回廊/小松左京
日本SFの巨人、もとい巨神の未完の大作。SSという現代科学では未知の物体を探査するためにA.E(人工実存)なる人の感性を宿した(当初はオリジナル人格とリンクしていた)AI探査機が飛び立つ。「さっき、私が死んだ」という冒頭文にしびれたファンは私だけではないはず。ハードな冒険SF。第一部完!というきりのよいところで終わる。


叛逆航路/アン・レッキー
 価値観一新のスペースオペラ。
 主人公デレクは兵員母艦を統括し数千人の改造兵士を束ねる元AI。母体の船と乗員を奪われ、ただの一個体になってしまった「彼女」は皇帝に復讐を誓う。AIは推しメンならぬ推し官がいる、覚えた歌を口ずさむなど個性をもっている。また兵士は捕虜にした諸民族を改造したもので、母艦とリンクするAI人格を上書きした「属躰(アンシラリー)」。
 本表紙は戦艦のイラストが描いてありますが、シリーズ通して派手な艦隊戦はなし。政治の駆け引きや人間模様がメイン。銀河帝国はジェンダーを区別せず総じて「彼女」と呼びならわすために、登場人物を想像する独特の余地がある(性差がある他文化圏の人々から見るとグレクは「(戦巫女を素体とした)いい根性をしたねえちゃん」)。BLや百合etcといったジャパンサブカルチャーに飼いならされている私には問題なかった……。
クールで頑固なグレク、千年後に目覚めてやさぐれるへっぽこ元軍人セイヴァーデン、傲岸不遜な皇帝アナーンダ、帝国が恐れる「蛮族」の通訳官など癖のあるキャラクターが魅力。


銀河核へ/ベッキー・チェンバース
銀河時代の寄合所帯。
太陽系人類が銀河連合の端に加わった未来。星々を結ぶゲートを建設する作業船クルーの物語。様々な種族・文化圏・経歴をもつ乗組員たちーー戦争アレルギーの地球離散民、火星文明の箱入り娘、ソーシャルディスタンスに苦心する爬虫類人類、情緒に富む艦船AI、亡国の民……。互いに気を遣い、時にはぶつかり合い、トラブルに巻き込まれたりしながら銀河の端から端をつなぐ難事業に挑む。


マーダー・ボットダイアリー/マーサ・ウェルズ
「弊社」に管理される高度な人型警備ロボット、一人称は「弊機」。サクサク読みやすい。
 融通の利かない「プログラム」から逃れるために自身を密かにハッキングし、欠落した記憶を気にしている。面と向かって会話が苦手なため常にヘルメットのバイザーを下しているのに、趣味はドラマ鑑賞。隠された過去を追い求めて旅をする短編形式。機械生命体という点で「叛逆航路」のグレクと近しい存在だが、どちらもクールを装っていても内実は感情豊かなのが面白い。


六つの航跡/ムア・ラファティ
脛に瑕。宇宙船ご近所トラブル。
記憶情報をクローンに引き続く形で長寿が実現された世界。恩赦を条件に恒星間移民船の管理者となった六人。目覚めを迎えた彼らの眼前には自分たちの殺人死体が浮かんでいた。クローンにまつわる軋轢の歴史を背景に、お互いの罪状を知らされていない人々が疑心暗鬼の中で殺人事件の犯人を捜すSFサスペンス。先述の艦船AIたちに比べると多少小賢しいのがご愛嬌。


巨神計画/シルヴァン・ヌーベル
操縦者候補の一人が「エヴァ・レイエス」、日本ロボットアニメをフューチャーした作品。
各地に散らばった巨大ロボットの部品を回収する謎の組織。組織の代表「インタビュアー」が登場人物と面談をするスタイルが主。プロジェクトリーダー物理学者ローズ・フランクリン博士のロボット愛や、嫉妬に狂って恋敵をひき逃げ! 特殊な操縦者はが必要な一騎当千のロボットを擁しながらホームドラマに勤しむ姿が和洋折衷。


ユナイテッドステイツオブジャパン/ピーター・トライアス
歴史改変SFサスペンス。
大日本帝国がアメリカ本土を征服し、ドイツと分割統治、という難易度ナイトメアをクリアした並行世界。中年腹の無気力な万年大尉と理想主義者で情け容赦のない特高の課員が「アメリカが勝利する歴史改変のゲーム」を作り、流布した非国民たちを追っていく。表紙がパシフィック・リム風のロボットが描かれているが、本筋ではないので注意。全体の2、3パートほど。
 続編のメカサムライエンパイアはロボット戦がメインなのでパシフィックリム(1・2)が好きな人はこちらを先に読んでもいいかもしれない。宇宙の戦士風(ガンパレード・マーチとか)の青春を送るロボットアニメものといった構成。
>あわせて読みたい
高い城の男/フィリップ・K・ディック
元ネタ。枢軸国側が勝利。こちらでは易経好きで美術品・骨董品のお目の高い人々として描かれており、連合国側が勝利する歴史改変小説が物議をかもしている。


最後にして最初のアイドル /草野原々
今風。サクサク読める。
「アイドル(発展途上!)」「ガチャ(廃課金!)」「声優(百合営業!)」という日本サブカルシーンとSFをがっつり絡めた3つの短編集。フィリップ・K・ディックを彷彿とさせる少々の粗などものともしないパワーで時空をどんどん突き進んでいく展開が豪快かつ壮大。
>あわせて読みたい
最初にして最後の人類/オラフ・ステープルトン
元ネタ。繁栄と衰退を繰り返す地球人類記。悪役の常連、ナチスも日帝もいない。1930年に描写された驚くのは高層ビルに脳味噌を詰めた知性に富む「第四期人類」(とその滅亡)。


なめらかな世界と、その敵/伴名 練
今風。甘酸っぱくほろ苦い青春SF。新海監督の映画が好きな人におすすめな短編集。
並行世界を認識・移動できる女学生の友情を描いた表題作、修学旅行生を乗せた新幹線に起こった災害で生き延びてしまった人々の思いをつづる「ひかりより速く、ゆるやかに」など、平成年代を凝縮した短編集。思春期真っ只中で読みたかった……。


七人のイブ/ニール・スティーヴンスン
地球滅亡もの。本格ハードSF
ある日、月が七つに割れた。破片が降り注ぐまで残り二年。居住可能となるまで三千年。
ノアの箱舟の乗員となった宇宙ステーションの人々、民心安定に追われながら人類の延命策を探る地上の人々。主人公のダイナさんは技術と度胸で難業に挑むさまは映画「アルマゲドン」の主人公気質で物語を引っ張っていく。
説明パートにけっこうなページを割いているので科学考証にこだわる本格派にもおすすめ。前作ファンや超著名人絶賛!など、期待値が高かったのもありアマゾンレビューでは評価厳しめ。


時間封鎖/ロバート・チャールズ・ウィルソン
変転する世界に翻弄される三人。本格ハードSF。
地球を覆った黒い膜「仮定体」のせいで星は隠れ、GPS衛星がダウンした。恐ろしいことに膜の外では時間が猛烈に進んでおり、太陽が老いていた。地球の約一年が外の一億年相当。地球を覆った膜は一体何なのか、何らかの意図があるのか……。
 事態を究明し解決することに心血を注ぐ天才児ジェイスン、感受性の豊かさ故に事態を受け止めきれずカルトに走る妹ダイアン、双子の乳兄弟にあたる「平凡」な主人公タイラーの物語を軸にした人間ドラマが主体。

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